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Takram Japan株式会社

[後編] 「自律分散型組織」を支える対話の力。互いの思索を深め、一人ひとりが自ら答えを見つけ出す組織文化の醸成

会社名

Takram Japan株式会社

受講者・チーム

1on1モジュール担当チーム

会社規模

  • 51-100名

利用サービス

チームトレーニング・チームコーチング・パーソナルコーチング

受講生インタビュー

[後編] 「自律分散型組織」を支える対話の力。互いの思索を深め、一人ひとりが自ら答えを見つけ出す組織文化の醸成

会社全体でコーチングスキル習得し、コーチングを受け続けることで起きた変化

2022/9/27

1on1の効果を高めることを目的に、コーチェットのプログラムを導入された、Takram Japan株式会社の阿野理恵さん、緒方壽人さん、櫻井稔さんにインタビューを実施しました。組織の自律分散化が進む中、Takramらしい1on1を実装するためにコーチェットを選ばれた背景や、全メンバーがコーチングを学び、かつコーチングを受けられるように取り組みを行った効果についてお伺いしました。 後編となる本記事では、1on1の仕組みを運用している1on1チームの皆さんの活動や、全メンバー向けのトレーニング・コーチング導入について語っていただきました。 自社らしい組織のあり方や1on1の活用に関心のあるリーダーに、ぜひ読んでいただきたいインタビューです。

期待

●社内で1on1制度を開始するにあたり、メンターとなる全メンバーでコーチングを学び、共通言語を作りたい

●型にはめこむ研修ではなく、Takramの文化や状況に合った1on1のトレーニングやサポートをしてほしい

効果

●1on1において「メンターがメンバー(メンティー)の課題を解決する」のではなく、「メンバー(メンティー)が課題解決できるようにメンターが支援する」ことができるようになりはじめた。

●コーチングスキルにより1on1の効果性が向上しはじめた。

●メンバーもコーチングを学んだことで、1on1の意義を理解し、より積極的に1on1を活用しようとしたり、自律的な言動が増えた。


    実施内容

    • ディレクター向けチームトレーニング

    • ディレクター向けチームコーチング

    • ディレクター向けコーチング

    • コミュニケーションプレイブックの製作支援

    • 全メンバー向けチームトレーニング

    • 全メンバー向けカウンセリング(希望者に対して)

    • 全メンバー向けコーチング(希望者に対して)


    ※前編をまだお読みになっていない方はこちらからお読みください。

    メンターの悩みをシステム的に解決する、Takramの1on1

    ──ところで、皆さんは1on1を運営するチームとのことですが、「1on1モジュール」についてお聞きしたいと思います。1on1モジュールの目的やチームの動き方を教えていただけますか?

    緒方氏:

    1on1モジュールの目的は、1on1が上手く機能するための仕組みを構築することです。まだまだ試行錯誤中ですが、わかりやすい施策としては、Notionに1on1のページを作成して、Takramにおける1on1の目的や、「メンター」「メンティー」など、1on1でよく使われる言葉の定義を記載しています。メンターから個別相談を受けることもありますが、メンバーの悩みを一つずつ解決していく役割を、1on1モジュールは担っていません。一方で、メンバーが困ったり悩んだりした際に、ひとりで抱え込まないように、適切な相談先をすぐに探れるケアフローチャートを作成していたり、相談先の方がうまく相談にのれたりような施策を打ち、システムとして解決を図ります。

    櫻井氏:

    ケアフローチャートは、何か起こった時に、それを抜け漏れなくキャッチアップするために作成しました。

    例えば、「メンティーにこういった問題が起きているけれど、誰に言えばいいのかわからない」というような、メンターが判断に悩むシーンは意外とあります。そんな時にケアフローチャートを見れば、「この段階であれば、まずメンバーにヒアリングしましょう」とか、「ここまできていたら、担当のチームに渡しましょう」といったような、同じ軸で判断ができるようになっています。

    抜け漏れを発見したら、すぐにケアフローチャートを修正します。誰が相談を受けても、同じ判断ができる状態にしたいという願いも込めながら、アップデートを重ねている最中なんです。

    ──Takramさんらしいアプローチで非常に興味深いです! 他にもTakramさんならではの取り組みや悩みがあれば教えていただけますか?

    櫻井氏:

    メンターとメンティーの組み合わせは、人と人のすり合わせの大切さを感じながらやっています。

    「この人はビジネスの話は得意だけど、クリエイティブの話は苦手」とか「この人はエンジニアリングは得意だけど、ビジネスは苦手」といったように、メンバーのケイパビリティや仕事が見事にバラバラなのも、Takramならではの悩みでもあります。メンターとメンティーの、ケイパビリティが合っているのかどうか見極めながら、ペアを作っていく難しさがありますね。

    緒方氏:

    そうなんですよね。メンターとメンティーを組み合わせるためのルールは設けていて、聞かれたら説明はできるのですが、まだまだ模索しているところです。

    少なくとも半年間は同じペアで取り組んでもらいますが、年に2回、メンターチェンジに関するアンケートを実施しながら、できるだけ希望に沿える最適なペアが作れるように努めています。

    阿野氏:

    メンターに対しては、月に1回、メンター全員が集まって、悩みや課題を共有し、意見を言い合えるミーティングを主催しています。「自分のやり方はこれでいいのかな」といった悩みを一人で抱えないような場を提供することも、1on1モジュールの一つの役割だと考えています。

    Takram Japan株式会社 1on1モジュール担当チーム

    メンバーみんながコーチングのノウハウを知っているのが、Takramらしさ

    ──旧ディレクターがチームトレーニングの受講を終えてから、全メンバーがコーチェットのコーチングサービスを受けられるようにされましたよね。その背景を教えていただけますか?

    緒方氏:

    メンター側だけが、コーチングのノウハウを知っているのは、Takramっぽくない気がしたんですよね。

    また、僕たち(旧ディレクター)もコーチングを受ける時に「コーチングとはこういうものだ」と理解していることが、コーチングの時間をより実りある時間にすることに通じることを体感していました。1on1を受けるメンティーのためにも、「コーチングとは何か」「コーチングとはこういう技術である」ということを理解した上で1on1をやる方が効果的であり、透明性を大事にするTakramらしいと考え、導入を決めました。

    阿野氏:

    Takramには、「プロジェクトディレクター」という、プロジェクトをリードする役割があります。プロジェクトディレクターには誰もがチャレンジできるので、メンバーの半数以上が、何かしらプロジェクトでリーダーシップを発揮している状況になっています。

    したがって、多くのメンバーがリーダーとしての悩みを持つ可能性があるんですよ。リーダーなりの悩みを解決する一つの機会として、コーチェットのコーチングを活用してもらえたらいいなと考えています。

    また、Takramの組織構造上、個々人のキャリアステップが明確ではないんですよね。上下関係がないので、ピラミッドストラクチャーのように「マネージャーを目指すならこのステップ」といったものがなく、自分でキャリアデザインを考えていかなくてはなりません。

    これがすごく悩ましくて。自分自身について考えるための内省を促す機会や、継続的に相談できる体制が社内にはありませんでした。自分のキャリアを考えるためにも、コーチェットのコーチングを活用できるのではないかと思いはじめましたが、少しづつ効果があらわれはじめています。

    コーチングをベースに自走力を高める

    ──コーチェットのチームトレーニングやコーチングを受けたメンバーからは、どのような感想がありましたか? みなさんから見える変化などもあれば教えてください。

    阿野氏:

    メンターには話しきれないことを話したり、深く内省をする時間となり、とてもよい機会になっているという声を聞いています。

    「良かった」と話すメンバーは、恐れが減り、行動が変わってきたような印象があります。例えば、すごく慎重だったメンバーが、自ら積極的にプロジェクトディレクターにチャレンジするケースがありました。人間関係構築に悩んでいたメンバーからは、「コーチェットのコーチングを経て、課題がクリアになったので解決に向けた行動をとる」と報告を受けたこともありました。そうしたマインドや、行動の変化を感じるようになってきていますね。

    櫻井氏:

    「聴く」を知ったことで、どう解決するかではなくて、まずはちゃんと聴けているかを確認するような会話がポツポツと出てきているのが、大きな変化だなと感じています。すごくいい爪痕がしっかり残ってるなと思いますね。

    阿野氏:

    1on1を開始する前を思い出すと、Takram全体としてコミュニケーションの考え方も効果も、劇的に変わったように思います。それまでは、その人自身の自走性や才能に任せて、とにかく才能がある人で何とかする風土がありました。

    組織が大きくなっても、多様なバックグラウンドを持つ人が入ってきても、コーチングをベースにコミュニケーションを整えていくことで、組織全体としてより前向きな力が引き出せるようなフェーズに移ってきている。今はそんな変化を感じています。

    Takram Japan株式会社 1on1モジュール担当チーム
    緒方氏:

    自走することはやはり難しいです。どっちの方向に自走していけばいいのか迷っている人もいますし、自走する方向は見えたけれど、どう進んでいけばいいのかに悩むのが、Takramなんですよね。仕事の課題も、キャリアの課題も自分で決めていかなければならないので、本当に難しい組織です(笑)。

    Takramがある程度の規模になっても、誰もが自走し続けられる仕組みを、日々試行錯誤をし続けている感じですね。

    櫻井氏:

    気づいてから、トライが始まるじゃないですか。トレーニングの中で「to be」について何度か話した後に、「自分にはto beがない」「to beはなければいけないのか」といった相談もありました。いい意味で、みんなが悩み始めたのも、自走に向けた変化に感じています。

    何事も気づいてからしか始まらないので、気づきの段階にまずみんなが立てたことは、とても大きいと思います。人によっては、気づいたものをあえて無視してしまうこともありますが、それも一つの方法だと思うんですよ。まずは、気づく。そこに立てたのは、大きな一歩ですね。

    緒方氏:

    上から目標が降ってくる組織ではないので、そこをうまくサポートしないと、目標を持つこと自体に悩んでしまうこともありますよね。目標が定まると、メンタルとしても健全になると思うので、何かそこをサポートできるようになっていくといいなと思います。

    阿野氏:

    難しいといえば難しいし、やりたいと言えば何でもできてしまう組織でもあるんですよ。

    コーチングや、いろいろなメンバーサポート制度を作っていますが、使う人もいるし、使わない人もいる。ここに大きな差が生まれるのかもしれないなと、ちょっと感じています。

    誰もがTakramという場を、楽しく活かしていけるようにデザインできたらといいなと思っていて。その後押しとして、「こういう制度を使ってみるといいよ」というのを、1on1を通して伝えていくことで、悩む場から、充実した場に自分で変えていけるようになるといいなと思います。

    櫻井氏:

    積極的に制度を活用しているメンバーは充実度が高いように見える一方、そうではないメンバーもやはりいます。どんなメンバーも居心地良くTakramにいれるようなバランスを取っていきたいですね。

    コーチェットは一緒に並走するパートナー

    ──皆さんから見て、コーチェットはどのように見えていますか?今後の取り組みも続くので、期待も含めてお聞かせいただけると嬉しいです。

    櫻井氏:

    期待することは、「並走」ですね。すでに叶っていると言えば叶っているのですが。

    僕たちもサービスを作る時に、作り始めはクライアントと一緒に考えますが、納品して終わりになってしまうこともあるんですよね。一緒に考え続けたり、パートナーとして並走し続けないと意味がないのになと思いながら、仕方なく納品して終わりになってしまう。そういう体験をしているからこそ、コーチングであったり1on1であったりが、Takramのカルチャーの中に溶け込んでいくまで、並走してお付き合いしてもらえたらいいなと思っています。

    緒方氏:

    組織の在り方や、働き方もどんどん変わっていく社会において、僕らは僕らなりに、Takramにマッチする新しい働き方や、組織の在り方を模索していきます。コーチェットさんには、プロの目線から、最先端の知見や他社の事例などをどんどん教えてもらえたらいいなと期待しています。どんどん教えてもらいながら、僕らもたくさんのチャレンジをしていきたいですね。

    阿野氏:

    並走っていうのは、まさにそうだなと思いました。約3年、コーチェットさんと一緒にやってきて、チームトレーニングやマンツーマンコーチングを通して、メンバーのこともかなり理解してもらっています。組織の構造だけでなく、ここまで個々人の特徴を把握していただいてるパートナー企業さんは初めてなんですよね。

    継続的に見ていただいているので、社内からは見えていないことも、たくさん見えていらっしゃるんだろうなと思います。そうした関係ができ始めているからこそ、Takramがどういう状態にあるのか、どんなことをやっていくといいのかということを、ニュートラルな第3者目線でアドバイスいただけたらいいなと思っています。

    ──緒に組織を良くしていただくために、これからも並走していただけたら嬉しいです。

    Takram Japan株式会社 1on1モジュール担当チーム

1on1モジュール担当チーム

阿野理恵
大学卒業後、大手都市銀行に入行し、営業・融資業務を担当。その後、大手人材派遣会社に入社し、コスト体質の見直し、新規事業・部門の立ち上げ・責任者などを経験。2010年にTakramに参画。Takramでは、人事関連業務を中心にバックオフィス業務全般を経験。現在は、評価制度の立案・運用・People Analyticsの活用、研修や1on1等メンバーのCareerをサポートする制度の検討・運用に携わっている。

緒方壽人
ソフトウェア、ハードウェアを問わず、デザイン、エンジニアリング、アート、サイエンスまで幅広く領域横断的な活動を行うデザインエンジニア。東京大学工学部卒業後、国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)、LEADING EDGE DESIGNを経て、ディレクターとしてTakramに参加。主なプロジェクトとして、「HAKUTO」月面探査ローバーの意匠コンセプト立案とスタイリング、NHK Eテレ「ミミクリーズ」のアートディレクション、紙とデジタルメディアを融合させたON THE FLYシステムの開発、21_21 DESIGN SIGHT「アスリート展」展覧会ディレクターなど。2004年グッドデザイン賞、2005年ドイツiFデザイン賞、2012年文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品など受賞多数。2015年よりグッドデザイン賞審査員を務める。近著に『コンヴィヴィアル・テクノロジー』〈BNN〉。

櫻井稔
ビッグデータの可視化から、UI/UXデザイン、サービスデザインまで幅広く取り組んでいる。2014年Takramに参加。2007年未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定。2014年東京藝術大学美術研究科デザイン専攻博士後期課程修了。代表作に日本政府のビッグデータビジュアライゼーションシステム「RESAS -地域経済分析システム-」のプロトタイピング、データサイエンス支援ツール「DataDiver」のUI設計・デザイン、隈研吾展ー新しい公共性をつくるためのネコの5原則「東京計画2020」、日本精工株式会社(NSK)のグローバルキャンペーン「__with Motion & Control」などがある。グッドデザイン金賞など受賞多数。

[文]栗原 京子

[撮影]大倉 英揮

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