
会社名
ファンファーレ株式会社
受講者・チーム
近藤 ゆきと
会社規模
11-30名
利用サービス
CoachEd mental support、CoachEdマンツーマン研修
受講生インタビュー
産業廃棄物分野でAIを活用したサービスを展開するファンファーレ株式会社は、大型資金調達後の組織拡大期を経て、事業の伸び悩みからダウンサイジングを決断。その過程で、経営者の過度な期待値や一方的なコミュニケーションスタイルといった課題が浮き彫りになりました。この状況を打開するため、代表自らがカウンセリングを経て半年間のコーチングプログラムを受講。対話的なコミュニケーションの実践により、メンバーとの対話の質が向上し、一人ひとりがWillを見出し、主体的に目標設定できる組織へと進化。UXデザイナー出身のスペシャリスト経営者から、マネジメント力で組織を動かすプロ経営者への転換を実現されました。代表取締役の近藤ゆきとさんに、変革の過程とその成果についてお話を伺いました。
期待
● 組織のダウンサイジング期におけるセルフマネジメント
● 経営者自身のコミュニケーションスタイルの改善
● メンバーの主体性を引き出す組織づくり
● フラットな対話ができる組織風土の醸成
効果
● 「議論が代表の意見に引っ張られすぎる」という指摘が改善され、メンバーの意見を引き出せるようになった
● 経営者自身が「こうあるべき」という固定観念から解放され、柔軟なコミュニケーションが可能になった
● メンバー一人ひとりの主体性が向上した
● メンバーと建設的な対話ができ、互いを否定せず次のキャリアを議論できる関係性を構築できた
● ミドルマネージャーからの相談が増加し、特に検討段階からの早期相談が活発化した

まずは御社の事業内容と、組織の状況についてお聞かせください。
近藤ゆきと氏(以下、近藤氏)
弊社は産業廃棄物分野で事業を展開し、一般の家庭ごみではなく、建設現場やメーカーの製造過程で出る産業廃棄物を扱っています。一般ごみの10倍もの排出量があるこの分野は人手不足が深刻で、社会問題化しつつあります。そこで私たちは、AIを活用した収集ルートの自動最適化サービスを提供しています。
組織としては、2年前の大型資金調達後、5名から30名規模まで拡大しました。事業成長が想定よりも緩やかだったため、創業以来初めて規模を縮小する経験をしました。


そのご状況の中で、今回のプログラムを受講しようと思われたきっかけを教えていただけますか?
近藤氏
まず、Coral Capital(コーチェットのパートナーVC*)を通じて、起業家向けのメンタルヘルスセッションを紹介いただいたことです。
組織を成長させる経験しかなく、ダウンサイジングは未経験だったため、マネジメントの面で精神的にも苦しい状況でした。しかし、内部の方や投資家には相談しづらく、第三者の視点が必要だと感じました。
最初にカウンセリングを3回ほど受け、「マイナスをゼロに戻す」フェーズから「ゼロからプラスへ」というフェーズに移行していく中で、半年間のコーチングプログラムに進むことになりました。

ダウンサイジングは経営者にとって大変な局面かとお察しいたします。近藤さんにとって、特に辛かったこと、あるいは担当トレーナー(森山)との出会いで良かったと感じた部分はありますか?
近藤氏
最初は苦しい状態の理由も言語化できていませんでした。森山さんとの対話を通じて、原因が見えてきました。
その当時の私は、起業家としての特性なのか、自分の成長や実行力に対する自己信頼が高く、他者や社会に対しても大きな期待を抱きがちでした。それは起業や採用、ビジョン構築の原動力になる一方で、期待を手放すことへの本質的な恐れにもつながっていました。
期待通りのパフォーマンスが出なかった方たちへの苛立ちや、「一緒にやろうと約束したのに」という個人的な悲しみがあり、根本的には、私が過度に期待をかけすぎること、そしてその期待が裏切られることへの恐れが、自分の生きがいを揺るがすほどの影響を及ぼしていたのだと気付きました。

森山さんから見て、当時の近藤さんの状況はいかがでしたか?

近藤さんのおっしゃる通り、最初は感情の言語化が難しい状況でした。ダウンサイジングという局面で、実務的な対応と心理的な整理を同時に行う必要があり、とても大変な時期でした。心の整理ができていくにつれて、実務面でも順調に進められるようになっていきました。


そのようなご状況を経て、カウンセリングからマネジメントのトレーニングに進もうと思われた理由をお聞かせいただけますか?
近藤氏
カウンセリングを通じて自分の課題が見えてきた時、人員体制の変更は既に決まったスケジュールで進める必要がありました。ただその状態のままではやっていきたくないという思いがあり、二つの観点からトレーニングを受けることにしました。
一つは、マネジメントスキルを向上させ、厳しい状況下でもベストを尽くして組織のコンディションをなるべく悪化させないようにしたいという点。
もう一つは、組織の状態に前向きに向き合い続けるためのマインドを維持するため、自分自身の変化のプロセスをしっかりと捉えたいと考えたからです。

実際に受講されてみて、どういった点が印象的でしたか?
近藤氏
一番大きかったのは、森山さんに対して飾らずに自己開示ができる環境を作っていただいた点です。私は問いが与えられると課題の捉え方や解決の方法や、その際のプロセスなどを一気に話切ってしまう傾向がありますが、その中から次のステップに必要な要素を見出し、さらに掘り下げていくアプローチをしていただきました。
学んだことで印象的だったのは、プレゼンシング(生成的な対話)なコミュニケーションです。また、U理論の本を読んだ時や、動画を撮影して振り返った時に、私がいかにダウンローディング(礼儀的)なコミュニケーションをとるタイプなのかという気づきがありました。

また、相手が結論を出す前に私が結論をまとめてしまう傾向があり、本人の能力を引き出すようなコミュニケーションを阻害してしまっていることに気付きました。これは訓練が必要だと実感しましたね。

トレーニングを受けて、メンバーの方々からは、近藤さんの変化についてどのような反応がありましたか?
近藤氏
当初は「会話の合意形成時に議論が私の方向に引っ張られすぎる」「代表として長期的なビジョンが見えにくい」といった指摘をいただいていました。そこでミドルマネージャーとの対話の機会を増やすと、まだ煮詰まっていない段階での相談も増えてきました。私が結論を即座に出そうとしない姿勢が伝わってきたからかもしれません。
特に印象的だったのは、私がコーチングを学んでいることを伝えながら行ったミッション面談です。メンバーが持ってきた目標について対話を重ねると、内容が変化し、本人がより主体的にやりたいと思えるものになっていきました。「この時間がなければ、こんなことをやろうとは思わなかった」という感想をもらえた時は、コーチングの効果を実感しました。


ここまで大きな変化をしてこられた近藤さんですが、最も苦労された点をあえて挙げるとしたら何でしょうか?
近藤氏
「自分はこんな最低な人間なのか」という部分を受け入れることに最も苦労しました。
コーチングに切り替える時に、身近な人に「お前は共感性がない人間だ」と言われました。以前は「こういう自分だからここまで来れた」という言い方をよくしていましたが、今思えば、そういった「ネガティブな部分があるからこそユニークなんです」という言い方は、ポジティブな時は良いのですが、それを強調しすぎると、ネガティブな状況でも同じロジックを使ってしまうんですよね。
つまり、「コミュニケーションが苦手だけど、それを理解してくれる人だけが付いてくれればいい」といった評価軸になっていたという最低な部分を受け入れることが苦しかったです。
さらに、自分は最低な人間だと思うと同時に、それが伸ばせる能力だと思うことにも苦労しました。私は本を読んで構造的に理解してから実践することが好きなタイプなので、トレーニングも前向きに取り組みました。理論的には理解できても、実践では上手くいかない。それを繰り返す過程が一番つらかったですね。

そうした苦労を経て、得られたものは何でしょうか?
近藤氏
自分を守るための不要な防衛反応を手放せるようになったことです。これは一番大きな収穫だと思います。
以前は否定されたと感じると即座に防衛的・攻撃的になっていましたが、今はプレゼンシングなコミュニケーションを意識することで、相手のリアクションの強さの裏にも自己防衛があるのではないかと考えられるようになり、「どうしたらいいだろう」というフラットなスタンスでいられるようになりました。
これは退職するメンバーとの関係性にも活きています。相手の価値観ややりたいことを、お互いが自己開示できる状態でテーブルに乗せ、何が合っていて何が合っていないのか、じっくり話し合えるようになりました。その結果、喧嘩別れではなく、「ここが今の状況にとってお互いに合っていないね。でも、お互いのことは人間として否定しているわけじゃないよね」という状態で別れを選択できるようになっています。


受講のきっかけとして、スキルの面とマインドの2つの側面があったとおっしゃいましたが、濃密な半年を経て、それぞれの側面でどのような変化を感じていますか?
近藤氏
スキルの面でいうと、個人のコミュニケーションスタイルの多様性への理解と対応が大きく進みました。私自身は「ドライバー型」が強く、結論ファーストで話してほしい、端的に言ってほしいという特徴があります。また、意見の衝突があっても、お互いの意見を出し合って直接すり合わせたいというのが私の本来のコミュニケーションスタイルでした。
ただ、例えばソーシャルスタイル*の「エミアブル型」の人は空間の心地よさを重視するなど、人によって異なるスタイルがあることを学びました。一人一人にカスタマイズして、自分の特性を出したり抑制したりしながらコミュニケーションを取るという1対1のコミュニケーションのスキルは、かなり向上したと感じています。
*ソーシャルスタイルとは
コミュニケーションスタイルを「感情表現の度合い」と「自己主張(思考表現)の度合い」の2軸によって4つのタイプに分類することで、それぞれの特徴を理解し、適切なコミュニケーションのヒントを得ようとするもので、相手に興味関心を寄せ、観察し、理解しようとするためのツールです。
以下にタイプ/価値観を表す単語例を記載
・アナリティカル:思考派(感情を抑える×主張しない)/専門性・正確性・論理性など
・ドライバー:行動派(感情を抑える×主張する)/結果主義・実践的・効率的など
・エミアブル:協調派(感情を表現する×主張しない)/信頼・協力・安全性など
・エクスプレッシブ:感覚派(感情を表現をする×主張する)/新規性・自由さ・自発性など

マインドではどのような変化がありましたか?
近藤氏
自分とコミュニケーションスタイルの異なる人と接する際、スキルとしては対応できても、心理的には「何か気持ち悪いな」といった違和感が残ってしまう部分がありました。
その課題に対して、ポラリティマネジメントのトレーニングが非常に参考になりました。対立する概念を単純な二項対立として捉えるのではなく、その良い兆候をどう伸ばすか、悪い状況が出た時にどう対処するかという「8の字」でコントロールしていく考え方を学びました。

(実際に使用した教材の一部:ポラリティマネジメントとは?)
これまで自分の中でモヤモヤと感じていた対立要素を、ポラリティマネジメントというポジティブな解釈の枠組みで捉え直すことで、組織やこれからの人との関わりにおいて、どれだけダイバーシティを許容できるかという建設的な視点に変わっていきました。これは大きな変化だったと思います。

最終回の総振り返りで話されていたプログラムを通じての変化がとても印象的でしたが、ご自身ではどのように捉えていらっしゃいますか?
近藤氏
プログラムの最初に行なったリーダーシップやマネジメントに関するサーベイの結果を見た時に、自分のメタ認知はすごくできるけれど、他者から自分がどう見られているかについてのメタ認知はあまりできていないという課題が見えてきました。自分の中では、コミュニケーションに対して非常に消極的で、他者に対しての共感性が低いので、そもそもその能力が備わっていないように見えていたんです。
しかし、実際に、プログラムの中で、メンバーの方にアンケートを取ってみると、組織開発などは結構しっかりやっているという評価で、自分の認識と客観的な評価にかなりギャップがありました。このギャップの原因を考えると、実は不得意なんじゃなくて、やり方がわからないだけだったんです。自分が苦手という思い込みをずっと持ち続けているから、その行動も取らないという状態が根本的な原因でした。

具体的にはどのようなことが起きていましたか?
近藤氏
例えば、感情を表現することも元々苦手だと思っていましたが、ストーリーテリングの機会などで、実は私自身は状況をかなり分析できていて、言葉に落とすこともできていたんです。ただ、それを効果的に伝えていなかっただけでした。
また、人を承認する際も、伝えたい思いはあるのに伝え方がわからなくて頻度が減ってしまっている状況でした。

その気づきは、現在にどのように活かされていますか?
近藤氏
伝え方さえわかれば、人をリードしていったり、人の帰属意識を高めるような発言をしていくことも、自分の強みになるんじゃないかと思うようになりました。会社が向かっていく道筋に対して私の感情も表現しながら、そこに共感していただいて人の定着率を高められているように感じています。

元々その強みはもっていらっしゃったんですね。
近藤氏
そう、持っていたみたいです(笑) メタ認知能力をより高めることで、思い込みが解消し、使い方を理解することで、組織づくりの重要な武器として機能し始めている感覚があります。


(近藤さんご自身が記入した最終回の事前課題 100個の振り返り の一部)

そうした変化は、ご自身の経営者としての軸にも影響を与えているのでしょうか?
近藤氏
はい。最初は危機的状況への対応として、今の会社での社長としての役割、今の条件に対して自分の役割としてどう振る舞うべきかということしか考えていませんでした。しかし、プログラムを通じて視点が変わってきました。
私たちの会社は、クラシックな産業において、内的に変化が起こりにくい分野に外部から入っていって変革を促すことをしています。そのため、マーケットへの参入障壁が高く、メンバーたちが時にやる気を失ってしまったり、メンバーが入れ替わる必要が出てきたりします。これは避けられない部分もあるのだと理解できるようになりました。
私のアイデンティティも変化してきました。元々は社会の課題に対して手を挙げる起業家としてのマインドセットが強かったのですが、この5年を経て、組織づくりの能力も伸ばしていこうと考えるようになりました。
特に大きいのは、起業家から「プロ経営者」としてのアイデンティティへの移行です。私は元々美大出身でUXデザインから入り、IT分野でのスペシャリストとしてのバックグラウンドがありました。起業家としても、そのような、専門性をテコにして突破することを重視していました。しかし、プロ経営者は自分のスペシャリティが一切なくても、マネジメント能力だけで戦う存在です。
そこで、自分が持っている特異なスキルを誇示するのではなく、純粋にマネジメントと人とのコミュニケーション、関わり合いだけでチェンジマネジメントをしていく経営者として、そういう人材になりたいというパラダイムシフトが起きました。

お話を伺っていると、良い意味で身軽になっていかれている印象を受けますが、いかがでしょうか?
近藤氏
その表現はしっくりきますね。コミュニケーションが一方通行、固定的なスタイルであったものが、様々な相手に合わせてカスタマイズできるようになってきています。まだ完璧ではありませんが、自分自身の「こうあるべき」というこだわりが減ったことで、人に合わせることへの積極性が増しているのだと思います。

本日は貴重なお話をありがとうございました。近藤さんのさらなる活躍に向けて、今後も伴走させていただければと思います。
近藤氏
ありがとうございました。

(写真向かって左から:森山・近藤氏・齋藤)
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近藤 ゆきと
ファンファーレ株式会社CEO。美術大学を卒業後Crewwに入社。大企業の新規事業開発に従事。その後リクルートで組織開発、大規模プロダクト開発などを経験し、2019年6月ファンファーレを創業。
[文] コーチェット
[写真] 細谷 聡
STEP
01.
現状や課題感を伝える

現状や感じていらっしゃる課題感をお話しいただき、状況と根本要因を整理します。
STEP
02.
要因の見立てと解決策を聞く

現状・課題・ご希望に応じて、解決策をご提案します。
STEP
03.
理想に向けたアプローチを決める

実現に向けてのロードマップや最初の一歩をご提案します。
STEP
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理想に向けたアプローチを決める
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