ウェビナーレポート
2022/12/27
ベンチャーキャピタル
CoachEdでコーチングを受けながら学んだキャピタリストの数は20名を超え、起業家の成長や喜びを加速・拡張させるために「頭と心でしっかりと聴き、寄り添うこと」を大事にするキャピタリストが増えています。
本イベントでは、CoachEdを修了し「問いのデザインを通して、相手の課題解決や目標達成を支援する力」を身につけたキャピタリストの方々にウェビナー登壇いただき、コーチング習得の効果/活用事例や、各社が想う「理想の起業家との寄り添い方」等を伺いました。
(本記事は2022年9月26日に開催されたウェビナーを記事として編集しております。)
登壇者プロフィールはこちら
期待
・組織が大きくなるタイミングで、社内のコミュニケーションプロトコルを合わせたい(佐俣氏)
・起業家の思考を加速させるための時間を提供したい(鈴木氏)
・メンバーが最大限力を発揮できるマネジメントを行いたい(藤井氏)
・問いを通して起業家と投資家双方の解像度を上げたい(遠藤氏)
効果
・聴く技術を得たことで、相手を理解しやすくなりメンバーとの会話が楽になった(佐俣氏)
・自身のコミュニケーションの癖を客観視できるようになった(鈴木氏)
・根底にある課題を捉える重要性と、そのための問いの立て方を習得できた(藤井氏)
・自分自身とのコミュニケーションが上手くなり、他者との関わり方に変化がおきた(遠藤氏)
立山早(以下、立山)
本日の登壇者のみなさんには、コーチングを受ける体験とコーチングを学ぶ体験を通して、自分や関わる人を育てられるリーダーになるためのプログラム「CoachEd」を受講していただいています。
CoachEdでコーチングを学んだキャピタリストの数は20名を超え、起業家の成長や喜びを加速させるために、コーチングスキルという聴く技術を身につけるキャピタリストが増えています。
このウェビナーでは、CoachEdを修了したキャピタリストの方々に、コーチング習得の効果/活用事例や、各社が想う「理想の起業家との寄り添い方」等を伺っていきたいと思います。
では早速、登壇者のみなさんがコーチングを学ぼうと思われたきっかけを伺っていきます。まずは、約2年半前のCoachEdのサービスローンチと同時に受講してくださった鈴木さん、お願いします。
鈴木隆宏(以下、鈴木)氏
ベンチャーキャピタリストになって10年、インドネシアでも素晴らしい起業家に投資をさせていただいていて、実績も積み重ねられている中で、経営者としての自分の成長が鈍化してるなと、危機感を感じていました。そこで、自分に対する問いをまず立てたいと思ったのが、コーチングを学ぶきっかけでした。
また、僕は「キャピタリストにできることは多くはない」と意識しながら起業家と話すようにしていますが、忙しい起業家に時間をとってもらうのなら、「思考が加速したな」とか「思考がクリアになったな」と思ってもらえる時間にしたいと考えていました。そうした実りある時間にするためのツールとして、コーチングが向いているのではないかと考え、学ぶことにしました。
立山
キャピタリストの方々が、どのような関わり方、あり方をすると起業家の思考は加速していくと思われますか?
鈴木氏
やはり、良い問いを立てることではないでしょうか。よく若手のキャピタリストメンバーからも「どうキャピタリストとして成長をしていけば良いか」と相談を受けます。経験を積むには時間がかかりますが、良い問いを立てるスキルは、すぐに学べます。
良い問いを立てることさえできれば、起業家は自ら考え始め、自ら解決策を見つけることができる。キャピタリストが何かをやろうとすると、かえって迷惑に感じられることも少なくありません。なので、基本的には、起業家の中にはあるけれど、思考が深まっていない、言語化できていないことを含めた問いを立てることによって、起業家が自ら考え始めるきっかけをつくれるといいのかなと思っています。
立山
たしかに課題解決能力が高い起業家は多いので、良い問いを渡せたら、あとは自ら考えて行動できるというのはありますよね。遠藤さんもうなずいてらっしゃいましたが、聞きながらどんなことを感じていらっしゃいましたか。
遠藤弘子(以下、遠藤)氏
同じように感じているなと。私は、起業家が見ている世界と、その話を聞いた私に見えている世界の解像度があまりに違うのではないかと感じていて、問いを通してお互いに解像度を上げたいと思ったのが、コーチングを始めたきっかけの一つなんです。
起業家自身もまだ解像度が粗い部分に対して、良い問いを投げかけることで、その解像度が上がる。起業家の解像度が上がることで、私の見えている世界の解像度も上がって、共通認識を持って話ができるようになるんじゃないかなと思っていました。
また、私がコーチングを学んだもう一つの理由が、ベンチャーキャピタリストとして、成長し成熟していくためにも、コーチングのスキルが役に立つと思ったからです。起業家はすごいスピードで成長するので、ベンチャーキャピタリストも成長しないと絶対に置いていかれてしまうんですよね。
立山
キャピタリストとして、どんなことが起こると成長、成熟したなと言えるのでしょうか?
遠藤氏
難しい質問ですね。私も、どういう人が成熟したキャピタリストなのかは、まだわからないのですが。少なくとも、起業家が話をしてみようと思ってもらえるキャピタリストは、成熟しているんじゃないかなと思います。
ちょっと困ったことが起きたり、うまくいってないことを隠そうとせず、相談して話してみようと思ってもらえる。鈴木さんがおっしゃったように、話すと思考が整理される相手でありたいなと思っています。もっと言うと、心まで整理してあげられるといいですね。
立山
起業家も、困っていることを相談したいけれど、お世話になっているキャピタリストにはなかなか弱みを見せられないと抱え込んでしまう人もいるのかもしれません。みなさんは、相談を受けやすくするための工夫などは何かされていますか?
藤井昭剛 ヴィルヘルム(以下、藤井)氏
それなりにたくさんのベンチャーと関わってきて、起こり得るたいていの問題は見てきています。組織が崩壊するのも当たり前の話で、恥ずかしいことは一つもないという考えをベースに持っています。
でも、「ベンチャーキャピタリストは、どんな相談にものってくれる相手である」という認識が起業家にされていないのであれば、僕らの仕事不足なのかもしれませんね。
鈴木氏
僕はキャラクター的な部分もありますが、起業家との距離を友達くらい縮めるタイプです。投資に至るまでの間も、仕事以外の話をたくさんします。心理的安全性というか、相手にとって居心地のいい距離感はどこだろうと探りながら、関係を作ることを意識しています。
藤井さんがおっしゃったように、組織崩壊って当たり前で、僕自身もその壁にぶつかった経験があります。そうした実体験を、起業家にはできるだけおもしろおかしく、起こる前にさらけ出す。そうすると「あ、こんな経験があるって言ってたな」と思い出して、相談にきてもらいやすくなるんじゃないかなと思いながらやっていますね。
佐俣アンリ(以下、佐俣)氏
僕は暇そうにしています(笑)。忙しそうに見えると、話しかけづらいですよね。忙しそうだと思われていて得することって一つもないので、大体、暇そうにしています。
鈴木氏
たしかにそれは大事。
遠藤氏
私は特に、相手が大切にしていることは絶対に否定しないように気をつけています。「いや違う」という一言で、相手のシャッターはガタンと落ちてしまいます。なので、最初は自分の考えと違っていたり、「そうじゃない」と思っても否定せずに会話をするようにしています。
立山
最初からNOを言わない関わり方をしていくことで、起業家自身にどんな効果があると思われますか?
遠藤氏
これこそコーチング的な関わり方になるのですが、私が「なんか違うと思うんだけどなぁ」と感じても、相手はとても大事そうに話している事に対して、「なぜそれが大事なのか」「なぜそう考えるのか」を丁寧に聴いていくと、実は背景は一緒だったということもあります。
以前、立山さんに「モヤモヤの後ろには、本当の願いがある」と教えていただきました。起業家自身が「これをやりたいんだ」と強く主張していても、実は後ろにある願いは違うものであると気づいていないこともあります。問いを立てて聞いていくことで、相手も思考が整理されていって、「あれなんか、そうじゃないかも」となることもあるんですよね。
立山
本当にそうですよね。モヤモヤやネガティブな感情の背景には必ず願いがあります。私達が、ネガティブな感情を持つときは、願いや期待値があるのに、そこに現実が及んでいないギャップにモヤモヤしてしまうのです。
ですので、相手がモヤモヤしたりイライラしていたら、「モヤモヤの背景にどんな願いがあるのか」という問いを渡してあげる。すると、ネガティブな感情にフォーカスがいっていた人も、自分の願いにフォーカスがいって、会話の質も変わっていくんですよね。セルフコーチングとしても使える手法ですので、ぜひ視聴されているみなさんも実践してみてください。
遠藤氏
コーチングを学んで一番大きかった効果は、自分とのコミュニケーションが上手くなったことです。「今すごくイラッとしたけど、何でイラっとしたのかな」と、自分にもう一回問いかけてみるようになりました。そうすると、「ここが嫌だったんだな」とか「相手に期待しすぎてたんだな」と気づくんです。
今まではイラっとした理由が外に向かっていて、「なんでやってくれないんだろう」「なんでそんなふうに言うんだろう」になっていたんですよね。自分とのコミュニケーションが上手にできるようになり、他者との関わり方が変わった気がします。それが一番大きな成果だったかもしれないですね。
立山
素晴らしいですね。まず、自分自身を感情を含めてコントロールできるようになることで、他者との関わり方も変わっていきます。対自分だけでなく、他者との関係性にも影響が出てくるお話しだと思いました。遠藤さん自身の変化に対して、周りの方から何か反応はありましたか?
遠藤氏
話しやすい、と言われることが増えましたね。とても嬉しかったです。
立山
コーチング用語で「ラポール」という信頼関係を表す言葉があります。聴き方、あり方、質問の仕方、笑顔でいることなどによってラポールが築かれ、話しやすさが生まれているのだと感じました。
アンリさんは、ご自身がCoachEdを受講されただけでなく、社員全員でCoachEdを受けにきてくださっています。どんな背景から会社全体でコーチングを学ぼうと決めたのか、また、コーチングを学んだことによる効果を教えていただけますか。
佐俣氏
元々コーチングに興味があったので、まずは自分でコーチングを受けてみました。自分の中にある答えを引き出してもらって、それを言葉にした瞬間に「自分はこういうことをしたかったんだ!」と、腑に落ちる体験がすごく良かったんですよ。こういう体験っていいなぁと思って。ちょうど組織が大きくなっていくタイミングだったので、コミュニケーションのプロトコルを揃えていきたいと考えていて、そこにコーチングを活用したいと思ったのも、全社員でコーチングを学ぼうと決めた理由です。
成果については、お恥ずかしい話ですが、僕はキャピタリストしかしたことがない人生で、他の人の仕事が全くイメージできないんですよ。世の中で回ってる仕事が、どうやって回っているのかも理解できず、社内のメンバーの仕事もよくわからなくて。「メンバーとの会話が怖い」と感じていました。
CoachEdで聴く技術を学んでからは「どんなモチベーションで仕事をしているの?」といったことが聴きやすくなって、相手を理解しやすくなった実感がありました。チームメンバーとの会話がすごく楽になりました。
立山
聴く技術があると、相手の話を引き出すことができるから、相手の理解度が上がっていくという効果がありますよね。
佐俣氏
聴く技術はすごく大事ですね。この対談を聞いてくださっている経営者の中にも、うまく聴けないから自分の話をしてしまっている方は結構いると思っていて。僕もそういうタイプでした。
相手が何に興味持っているのか引き出す会話のバリエーションがないから、とりあえず自分の話をしていました。1on1でも自分が話をしていたのですが、今なら、駄目な1on1をやっていたんだなとわかります。そういう意味でも、聴くバリエーションが増えるのは、すごくいいですよね。
立山
聴くバリエーションが増えると、1on1の時間が豊かになりますよね。コーチング的コミュニケーションを身につけるというのは、ある種コミュニケーションのアンラーニングでもあります。今までバンバン話してた人からすると、相手が話すのを待つというのも、全然違うことをやるので簡単なことではないと思います。
佐俣氏
聴くことは苦手でしたし、大変でした(笑)。初めは、すごく怖かったです。相手が話すのを待つことは、相手に会話の主導権を渡していくような感覚があって、人生でそういう会話をしたことなかったんです。どうやってこの後話せばいいんだっけと、ドキドキしていました。
でも、待つスタイルにしたときに、今まであまり積極的に話してくれなかった人が、自分のことを話してくれる体験が何回かあって。「なるほど。こういうスタイルもあるんですな」と実感することができました。
立山
コーチングを学ぼうと思ったきかっけを伺ってきましたが、なぜCoachEdというサービスを選んでいただけたのかも、教えていただけますか。
鈴木氏
エグゼクティブコーチのお話も伺ってみたのですが、大企業のエグゼクティブ向けのコーチも多く、スタートアップとの乖離が大きいなと感じました。僕としては、スタートアップ経営のあるあるみたいなところと、比較的文脈が合いやすいコーチがいいなと思っていて。
それで、スタートアップの起業家でありながら、コーチでもある櫻本さん(コーチェット代表取締役)に声をかけさえていただいたんです。ちょうどCoachEdが始まるタイミングだったので、参加させていただいたというご縁でしたね。
遠藤氏
私も、ご自身がスタートアップの起業家である櫻本さんが始められたサービスで、ベンチャーでもがいてる人たちのケースをたくさん見ているであろうCoachEdがいいんじゃないかなって思ったのが一番の理由でした。
佐俣氏
僕は別の会社のエグゼクティブコーチングを事前に受けてるんですけど、なんか重かったんですよね。まさにエグゼクティブと会話をするので、粗相のないような話し方をされるので、僕には重かった。僕はもうちょっとカジュアルに話してもらいたかったけど、そのチューニングもできなくて。スタートアップのテンションに近いのはCoachEdでした。
あと、僕たちはコーチングを受けるだけでなく、コーチングができる側になっていきたかったので、当時はCoachEd以外に比較検討するサービスがなかったんですよね。
藤井氏
僕も、2週間ぐらいのコーチングプログラムも自分自身で受けてみました。最終的にCoachEdを選んだのは、スタートアップ向けにきちんと作られていることと、コーチングをできるようになるためのスキルを教えているところですね。
教材がある程度体系化されていて、きちんと使いやすい形になっていることも大きかったかなと思います。
立山
ありがとうございます。CoachEdはまさに、スタートアップの方々をターゲットにして作ったサービスで、今まで500名以上のスタートアップ経営者にコーチングを通して関わってきているので、その強みが活かされているのはすごく嬉しく思います。
SXキャピタルさんは、投資先の経営者にもコーチングを学んでいただけるように、CoachEdの受講費用をSXキャピタルさんが持つという取り組みをされていますが、そこに込めた遠藤さんの想いをお聞かせいただけますでしょうか?
遠藤氏
投資先でも、人間関係がぐちゃぐちゃになって、組織が崩壊するのはよくあることです。よくあることではあるのですが、それが起きると起業家も傷つくし、傷ついた人が周りを傷つけてしまうことも起きている。そうなったときに「コーチェットさんに相談に行ってみて」と伝えても、「遠藤さんは僕が悪いからこれを受けろって言ってるんですか!」となるんですよね。「自分は悪くない」からスタートすると、効果はなかなか出にくくなってしまいます。
そのため、まだ問題が起きてないとき、これから組織が変わっていくであろうときに、前もってコーチングを学んで欲しい。そうすることで、そんなに傷が大きくなる前に、自分たちで気がつけたり、コミュニケーションの質も上げていけるのではないかという期待もありました。
我々ベンチャーキャピタルは、物やサービスが出来上がっているところだけを見て投資するわけではなく、絶対に人を見て投資をします。「この人がいい」と思って投資をしているにも関わらず、人への投資にはあまり積極的に関われていなかったという反省もありました。
こうしたプログラムをベンチャーキャピタルが提供するということも、お手伝いできることの一つではと考え、コーチェットさんにお願いすることにしました。今は、投資を決定した後すぐに、CoachEdを投資先の経営マネジメントチームに受けてもらうような形で、取り組みを進めています。
立山
CoachEdを受講された投資先の経営者の方々からは、どんな反応や変化がありましたか?
遠藤氏
とある投資先に、外資系のコンサルから来た役員がいるのですが、「コンサルファームでは当たり前にコーチングのプログラムを入れているけれど、ベンチャーになると手が回らなくて、やれていなかった。このサービスがあってすごい嬉しい」と言ってもらえたのは良かったです。
私たちは起業家に何でも話してほしいと伝えていますが、それでも投資家には言いたくないこともあるのが現実です。悩んでることを、コーチングを受ける中で話してくれているとしたら、少しは役に立っているのではないでしょうか。
ただ、みんな忙しいので、なかなかセッションの予約が決まらないのが今は悩みの種です。
立山
そうですよね。みなさんうなずかれていましたが、CoachEdは3ヶ月間、毎週80分間のセッションをコミットして学んでいただくサービスなので、受講後の感想の第一声に「つかれた!」という言葉がでてくるくらいです。その分、変容したいという強い想いを持って向き合ってくださるので、3ヶ月でもしっかり変容していけるという側面もあります。
鈴木さんはCoachEdで学ばれてから2年程の間で、どのような効果を実感されていますか?
鈴木氏
まずは、コーチングの基本の「相手の中に答えがある」という大前提を、より強く持つようになりました。コーチングを学ぶ前は、相手の考えをキャッチしきる前に、自分の中でどんどん処理をして、僕が答えを出そうとしちゃうところがありました。そのクセは、コーチングの実践練習の中でもかなり指摘をいただいたんですよね。そのことに気づいてからは、我慢することを覚えたのかなと思っています。
また、元々、ポジティブに物事を進めるコミュニケーションのスタイルだったので、答えがない問いや相談に対しても、同様のアプローチをしすぎていたように思います。なので、相談した側に「答えは求めていないんだけどな」と感じさせてしまうケースも少なくありませんでした。
今も意識していないと、たまに出てきてしまうのですが、「今こういうコミュニケーションをやってしまっている」と自覚的になって、俯瞰して見られるようになったのは、コーチングで学んだ大きな効果だったと思います。
立山
私たちも、コーチングサービスを提供しながら、コーチングは決して万能ではないと思っています。コーチングが使える時と使えない時はあると思いますが、鈴木さんはコーチング的なコミュニケーションが有用だと感じるのはどんな時ですか?
鈴木氏
コーチング的なコミュニケーションで問いかけながら、相手の考えを引き出す中で、お互い見えてくる景色がアラインされるケースがあります。そういった時は、結果的にグイっと進む手ごたえを感じます。
ただ、グイっと進めるために、聴き出しながらアラインさせていくことが、導いているというふうに捉えてほしくはなくて。「僕は、今の状況を考えて、こういうふうにやった方がいいと思うんだけども、それに対してどう感じるかな」と、率直なコミュニケーションを意識するようにしているからこその、問いかけなんですよね。
今までだったら、僕が強引に引っぱっていたところを、ワンクッションコミュニケーションを作ることで、お互いの考えをミックスできる機会を作れているんじゃないかなと感じることはありますね。
藤井氏
僕も課題に対して、とにかく解を求めにいこうとするタイプでした。「これが課題ですね。じゃあそれを解決するためにどうしていきましょうか」という思考に、すぐ陥ってたんです。今回コーチングを学んですごく良かったのが、そもそもの課題が何であるかを捉える重要性と、それに対する問いの立て方を学べたことです。
根本にある課題は、感情に紐づくものだったりするので、課題を特定することは相手の感情を扱うことにもなります。問いの重要性や感情を扱う重要性は、なんとなくわかっていましたが、今回体系的に理解できたことが、自分の成長できた部分かなと思っています。実際に問いを上手く使えているかは聴いてみないとわかりませんが、少なくとも、鈴木さんのおっしゃるように、自分のコミュニケーションのあり方は認識できるようになったかなと思います。
立山
藤井さんは、キャピタリストとしても経営者としてもコーチングを学んで良かったとおっしゃっていただいていましたが、経営者として対社内への成果を実感したエピソードがあれば教えてください。
藤井氏
会社の特性上、中途入社の方が多く、みなさんそれぞれパワーを持って動かれています。ですので、僕がティーチングをして導く機会はほとんどありません。各々が最大限力を発揮できるマネジメントをするために、コーチングを学んだという側面もあります。
そうした中で、最近はメンバーと話をしていて「自分が何に悩んでたのかが、すっきりした」と言ってもらえる機会が増えて、コーチングを学んで良かったなと感じています。思考が整理されるようなコミュニケーションが増えてきていることが、僕自身も一番変わったところかなと思います。
僕が何かを教えることはできないけれど、相手の思考を整理することによって、その人が前進していって、会社としても前身していく瞬間は、一番嬉しい瞬間でもありますね。
立山
素敵ですね。鈴木さんは、今後どのようにコーチングを活用していきたいとお考えでしょうか?
鈴木氏
僕の場合、特に海外に住んでいますし、バックグラウンドも言語の違う方々とコミュニケーションする機会も多いです。多様性が広がっていく中で、理解し合おうとする姿勢を持つことがすごく大事だと思っています。これは、経営者だからというよりは、他者とコミュニケーションを取る機会においてすごく重要な視点です。
起業家も、会社経営において、特に人間関係やマネジメントに悩む方が多い。そうした方々に、コーチングの話をしたり、学ぶ機会を作ったりしながら、ちょっとずつコーチングが当たり前の世の中になっていくといいなと。僕自身も努力しながら、コーチングの良さを伝えていければいいのかなと、思っています。
また現在、「Gowl(ゴール)」というプロジェクトを社内で進めています。ジェネシアのGに、フクロウのowlを繋げているのですが、起業家の肩に乗ったフクロウが道先案内人になって、いい組織作りに導いてほしいという願いを込めています。
多くの起業家は組織崩壊の壁や、なにかしらの組織トラブル、イシューに直面しますが、それは当たり前だし、キャピタリストとしても、そうしたトラブルが起こっても大丈夫だと思っています。ですが、組織のコンディションが悪くなってから相談いただくと、そこからのリカバリーはかなり大変で、起業家自身の心も削られて疲弊しきってしまうケースも少なくありません。
ですので、組織が悪化する前に気づける仕組み作りとして、スタートアップに特化した組織コンディションの定期検診をできる仕組みを作りたいと考えました。また、起業家自身の自己認識とメンバーからの他己認識の両方が見えると、起業家自身が成長に向かえるきっかけを作れるのではないかと考えていて。それらを可視化するサーベイと、それを元に組織を改善していくためのコーチングセッションなどをコーチェットさんと一緒に提供できると、より立体的にサポートできるのではと考え、開発を進めています。
ベータ版をいくつかの支援先で試させてもらって、起業家が感覚的に「この辺りがうまくいっていない気がする」と感じていたことが、数値として注意すべき点であると明確に示されるといった結果も出ています。数値として現れれば、それに対してコーポレートアクションを決めることができます。課題を明確にし、意思決定をしていく一助になると手応えを感じています。
立山
改善していくためにも、現状を可視化し、課題がどこかにあるのかを明確にすることは大事ですよね。藤井さんは、今回学んでいただいたことを今後投資先の方々にも身につけてほしいと思われますか?
藤井氏
もちろんあります。僕は、人の話を聴くのが好きで、話をするのが苦手でした。でも、今回コーチングを学んでみて、僕は、話を聴いているようで聴いていなかった、聴き方が下手くそだったんだと気づかされました。
特に僕は「承認」が苦手だったんですよね。まず、自分にも割と厳しめなので、人のことを褒めるのも苦手なんです。コーチングは、褒めるというよりは、相手が何を感じているのか、どういう行動を反映しているのかを、まずは承認していくことが大事なのだと知りました。そのためには聴き方がすごく重要で、聴き方の手法も大事だと実感したので、それはぜひ投資先にも伝えていきたいです。
何よりも、コーチングというと「人の話をよく聴く手法でしょ」といった捉え方がまだされているような気がしていて。一般的なコミュニケーション、あるいはマネジメントとしても、ごく当たり前のように使われているものという認識が日本ではまだされていないんですよね。それを変えたいなと思っています。コーチングは相手の気持ちを良くするコミュニケーションのあり方ではなく、きちんとしたマネジメントの一環である、という認知のされ方を、一緒にしていけるといいなと思います。
立山
力強いお言葉をありがとうございます。まさに、ビジネスマンがロジカルシンキングやクリティカルシンキングを学ぶのと同じように、マネジメントをする方々が、コーチングスキルを学ぶことが当たり前になっていくことを目指して作った会社がコーチェットなので、ぜひ一緒に進めていきたいと思います。皆様、本日はありがとうございました!
[文]栗原京子
登壇者プロフィール
佐俣 アンリ
ANRI株式会社
代表パートナー
慶應義塾大学卒業後、East Venturesを経て2012年にベンチャーキャピタルANRIを設立。シードステージに特化し、インターネット及びディープテック領域へ200社以上に投資実行。5つのフラッグシップファンドと脱炭素に特化したANRI GREENファンドを立ち上げ、累計約530億円を運用中。主な投資支援先はLayerX、NOT A HOTEL、hey、Mirrativ、アル、Rentio。
鈴木 隆宏
株式会社ジェネシア・ベンチャーズ
General Partner
2007年4月、サイバーエージェント入社。学生時代から、インフルエンサーマーケティングを行う子会社CyberBuzzの立ち上げに参画。その後、CAグループのゲーム事業の立ち上げ関わり、子会社マネジメント業務に従事。2011年6月より投資部門へ異動し、日本におけるベンチャーキャピタリスト業務を経て、同年10月よりインドネシア事務所代表に就任すると共に、東南アジアにおける投資事業全般を管轄。2018年12月にジェネシア・ベンチャーズへ参画。
藤井 昭剛 ヴィルヘルム
リアルテックホールディングス株式会社
取締役社長
東京大学大学院修士課程修了後、気候変動対策イノベーションを推進するヨーロッパ最大の官民機関であるEIT Climate-KIC(株)に入社。経営企画として複数部署の立ち上げに関わり、チーム設計・採用・チームビルディング・評価など人事業務に携わる他、2017年には全社の人事制度改革タスクフォースの責任者となる。2019年3月、リアルテックホールディングスに参画。出資先ベンチャーの人事支援を行うチームデベロッパーを経て、2020年5月より現職。
遠藤 弘子
株式会社SXキャピタル
取締役投資部長
日興證券、日興キャピタル、米系VCのCrimsonVentures、インテック・アイティ・キャピタルにてVC業務全般に従事。2016年9月インテック・アイティ・キャピタルをMBOし、SXキャピタルとしてスタート、取締役投資部長に就任、現在に至る。投資案件のデュー・デリジェンス、国内外のベンチャー・ファンドを企画・組成、種類株発行等の投資に関する法務業務に精通。日本アナリスト協会検定会員
最新のご利用くださった経営者/リーダーの声



認証登録範囲:
オンラインによるマンツーマンのコーチングスキル習得プログラムの提供、オンラインによるマンツーマンのエグゼクティブコーチング、オンラインメンタルカウンセリング、オンラインによる企業向けマネジメント研修

認証登録範囲:
オンラインによるマンツーマンのコーチングスキル習得プログラムの提供、オンラインによるマンツーマンのエグゼクティブコーチング、オンラインメンタルカウンセリング、オンラインによる企業向けマネジメント研修
© CoachEd Inc.