グローバル化、労働人口の減少、価値観の多様化などから、時代はダイバーシティが叫ばれています。多様な個々の特性を理解・支援することでそれぞれの強みを活かしチームワークを強化していくためにも、他者理解は不可欠です。この記事では、他者理解の重要性やビジネスでの実践方法を解説します。職場の人間関係に悩んでいる方、チームワークを強化したいと考えている方は必読です!他者理解とは?他者理解とは、相手の行動の促進/阻害要因となる状態や特性について理解することです。相手の目標や望む場所に向け、相手が行動できるように効果的に支援する(他者支援)ためには、相手の行動を促進/阻害する要因を理解することが重要です。人の「行動を促進/阻害する要因」には図のような状態や特性があります。日頃から、他者の言動を観察することにより、相手に対する理解を深めましょう。▼もっと詳しく知りたい方はこちら・無料相談はこちら・価値観の違いを乗り越える「他者理解の力」とは? ウェビナーアーカイブ動画を視聴する他者理解の重要性価値観が多様化している昨今、ジェネレーションギャップや考えの違いに戸惑うことはありませんか?ビジネスシーンにおいては、そのような環境下でも組織のマネジメントを機能させていかなければなりません。しかし、他者理解を深め、価値観の違う他者を理解・支援することができれば次のようなメリットが期待できます。①相手との信頼関係が深まる他者理解によって、相手が自分を理解しようとする様子を感じると、自身が尊重されているという意識が生まれます。これによって相手の自己価値感が高まり、信頼関係が構築されやすくなります。信頼関係を築くことで、相手の本音を引き出しやすくなり、より深い理解へとつながります。また、信頼関係は協業して仕事を進めていく中でスムーズなコミュニケーションの土台となります。他者理解によりコミュニケーションの土台を作り上げることができるのです。②相手への理解が深まり、効果的な関わり方がわかる他者理解ができると、相手とコミュニケーションをとる際、相手にとって効果的な関わり方が何かを正確に見立てることができたり、相手の承認すべき内容が明確になります。相手によって効果的な関わりや、承認すべき内容は異なるものです。他者理解を深めることによって、相手に合った関わり方を実践できるようになります。③多様な価値観の中で協業できるようになる他者理解ができると、自分の価値観と他者の価値観をそれぞれ別のものと認識しつつ、どちらも尊重し、バイアスや偏見を外して対話できるようになるため、協業を進めることができるようになります。人が気づかないうちに持っている自分の中の「当たり前」をわきに置き、他者の考えや価値観をフラットに受け止められることは、視点を増やし、効果的な協業を進め、イノベーションの創出につながるのです。他者理解のために求められるスキル他者理解を深めていくための重要なスキルは、大きく分けて次の2つに分けられます。①観察スキル他者理解のために必要なスキルの1つめは「観察スキル」です。観察とは、相手の話し方や表情、仕草などを注意深く見て、その人の言動や表情を客観的に認識することです。観察スキルを磨くことで、相手の状態や特性を客観的に理解することができます。観察の具体的な要素としては、以下のものが挙げられます。言語:言葉選び(どんなワードを使っているか)、話の内容・構成など非言語:表情や態度や仕草、話し方(声の大きさ・トーン・テンポ)などこれらの情報を総合的に観察することで、どんな言葉を好んで使うか、話を構成するときの思考の流れ方、しぐさなどの癖、どんな時に嬉しそう・悲しそうか、などが客観的に分析され、相手の状態や特性に関する情報が集まってきます。ポイントは、自分の持つ相手に対するバイアスを排除し、まっさらな視点で興味を持って相手を観察することです。観察した事項に対し評価判断してしまっていないか、自分を振り返ることも重要です。②質問スキル他者理解に関連するスキルの2つ目は、「質問スキル」です。質問は、話し始めたことだけでは見えない領域に光を当てるスポットライトのような役割を持ちます。観察スキルによって捉えた他者の情報を、質問スキルで見えていなかったことに光を当てることにより、より深層にある心理状態や価値観など「わかりにくい」本質的な部分を鋭く洞察することが可能になります。質問の種類には以下のようなものがあります。広げる質問:話されていること以外に意識を向けたり、可能性に気づいたり、視点を変えたりするための問いです。「他には?」「制約がなかったら?」「別のケースだと?」などの質問があります。深める質問:話されていることについて、より詳しく知ったり、解像度を上げたりするための問いです。「具体的には?」「それについてどう感じた?」「例えるとするとどんなこと?」などの質問があります。意味を問う質問:話されていることが、その人にとって、あるいはチームにとってどんな意味や価値があることなのか、を問いかけるための問いです。「あなたにとってそれはどんな意味があるの?」「背景にはどんな価値観がある?」「それは大きな視点で捉えるとどういうこと?」などの質問があります。質問スキルによって、他者理解をより深め、より深い関係性の構築や、他者の成長・目標達成支援が可能になります。▼もっと詳しく知りたい方はこちら・無料相談はこちら・価値観の違いを乗り越える「他者理解の力」とは? ウェビナーアーカイブ動画を視聴する他者理解のスキルを身に着ける方法次に、他者理解スキルを身に着ける方法について解説します。①自己理解を深める他者理解を深めるために、まずは自己理解を深めることが重要です。なぜなら、自分の価値観や行動パターンを客観的に認識していなければ、他人のことを客観的に捉えることが難しいからです。▼自己理解・自己認識についてはこちらの記事もご参照ください・セルフマネジメントとは?自己管理能力を高める方法や具体例を解説②ソーシャルスタイルを理解するソーシャルスタイルは、コミュニケーションスタイルを「感情表現の度合い」と「自己主張(思考表現)の度合い」の2軸によって4つのタイプに分類することで、それぞれの特徴を理解し、適切なコミュニケーションのヒントを得ようとするもので、相手に興味関心を寄せ、観察し、理解しようとするためのツールです。他者を理解し支援しようとする際は、相手のソーシャルスタイルを知り、相手に合わせて関わることが有効です。各スタイルが好む関わり方・好まない関わり方を下記に紹介します。Analytical 思考派Analytical 思考派は、論理的思考と分析力を駆使して問題解決に取り組むタイプのリーダーです。💡 <好む関わり方>・正確で詳細な情報提供をし任せる・客観的情報を与え、リスクにも言及し、不測の事態に備えられるようにする・じっくり話を聞く・専門性を評価する・具体的に事実を示して褒める・スケジュール通りに行いたいので、急な変更を極力避ける💡<好まない関わり方>・漠然と主観を求められる・ノリだけで行動を促される・計画変更を求められる・大げさにおだてられる・急かされるDriver 行動派Driver 行動派は、結果重視で行動力があり、スピード感を求めるタイプです。決断が早く、目標達成のために積極的に行動します。競争心が強く、常に勝利を目指します。💡 <好む関わり方>・結論から、スピード感を持って伝える・細かいこと抜きで責任を委ねる(例:ゴールと納期だけ伝え、やり方は本人に任せる)・競争心を刺激する・複数の選択肢を選べる・教えを請われる・「事実」を褒める(例:最近成績が伸びているね、など)💡<好まない関わり方>・1から10まで順番に話す・質問に答えさせられる・大げさに褒められる・婉曲的に依頼される・唯一の選択肢を突きつけられるAmiable 協調派Amiable、日本語では「協調派」と呼ばれるソーシャルスタイルは、穏やかで協力的、そして協調性が高いタイプです。チームワークを大切にし、他者の意見に耳を傾けることができるため、チームワークを必要とする職場環境において非常に効果的な存在となります。💡<好む関わり方>・肯定して安心感を与える・頻繁に声をかけてプロセスを見守る、プロセスの合意を取りながら進める・丹念に話を聞いてモチベーションを高める・結果だけでなく過程を褒める・不安や気がかりの気持ちを受け取る💡<好まない関わり方>・断れないのをいいことに、無茶を言われる・決断を迫られる・詰問される・気遣いを示されない・仕事を雑に丸投げされるExpressive 感覚派Expressive 感覚派は、社交的で感情表現が豊か、直感的に行動する傾向があります。周囲の人々の感情に敏感で、共感力が高く、コミュニケーション能力に優れています。また、創造性が高く、芸術や音楽など、美的感覚を刺激されることに喜びを感じます。💡 <好む関わり方>・魅力的なビジョンと高い目標設定をし「あなただから任せたい」と言う・大げさに褒められる(例:すごいね、さすがだ)・現状の批判ではなく、夢を実現するための改善策として提案する・自由に発想が広がるように話を引き出す💡<好まない関わり方>・細かいことを聞かれる・批判される・自分より誰かが目立つ・理詰めで迫られる③人が行動を起こす動機を理解する人は、達成、権力、親和、回避など、さまざまな動機によって行動を起こします。これらの動機は、複雑で相互に影響し合い、人によって強さも異なります。自分の行動の背後にある動機を理解することで、自分自身をより深く知り、目標を効果的に達成できます。下記に、4つの動機付けの種類を紹介します。達成動機達成動機とは、達成・成功に向けて努力する動機です。偶然や他人に結果を任せるよりも自分の責任でやってみたいと望みます。本人のスキルや成果状況が向上していることを意識させることが、モチベーションを向上させます。権力動機権力動機とは、権力を行使してコントロールしたい動機です。競争状況を好み信望をえたり、他人に影響力を与えたいと望みます。指示よりも責任を与え、本人が影響力やパワーを行使できるとモチベーションが高まります。親和動機親和動機とは、人間関係やコミュニケーションを大切にする動機です。相互理解をベースに気持ちよく働きたいと望みます。人から好かれたい、信頼を得たいとの願望があり、人の役に立つ仕事がモチベーションを向上させます。回避(安全)動機回避(安全)動機とは、安心・安全を求めたい動機です。失敗・挫折・困難を回避したいと望みます。安定したルーティンの業務や、不安を打ち明けられたり・周囲のサポートをえられることでモチベーションが高まります。▼もっと詳しく知りたい方はこちら・無料相談はこちら・価値観の違いを乗り越える「他者理解の力」とは? ウェビナーアーカイブ動画を視聴する他者理解の実践方法他者理解を深めるためには、以下の実践方法が有効です。①他者とコミュニケーションする機会をつくる他者理解を深めるためには、積極的にコミュニケーションを取る機会をつくることが重要です。例えば、会議の初めにチェックインやアイスブレイクを取り入れることや、相手に純粋に興味をもって質問を投げかけることなどが有効です。②チームビルディングを実施するメンバー間の信頼関係を深め、コミュニケーションを円滑にし、問題解決能力を高めるために、チームビルディングを実施することが重要です。チームビルディングを行うことで、チームワークが向上し、業務効率がアップします。③研修を実施する他者理解を実践するには、前述のとおり、まずは自己理解から始まり、観察スキル・関係性マネジメントスキルを身に着けることが必要です。研修で知識を得、実践練習を重ねることで、自らのバイアスを知り、本当の意味で他者を理解することができるでしょう。研修のメリットは講師からフィードバックを受けられる点です。自分では他者を理解できていると思っていても、バイアスを通して他者を見てしまっていたことに気が付くかもしれません。CoachEdで身につける他者理解CoachEdでは、他者理解を含むピープルマネジメントスキルを学ぶマンツーマン向けプログラムをご用意しています。リーダーとしてのあり方・関わり方について興味がある方は、コーチェットにご相談ください。▼もっと詳しく知りたい方はこちら・無料相談はこちら・価値観の違いを乗り越える「他者理解の力」とは? ウェビナーアーカイブ動画を視聴するまとめこの記事では、他者理解の重要性・他者理解に求められるスキル・他者理解を促す方法・他者理解の実践方法について解説しました。多様性の時代に、他者を理解して支援することでチームの視点の広がりやイノベーションの創出を体験してみませんか。ぜひこの記事を参考に研修等を通して他者理解を実践してみてください。