企業の成長に欠かせない「チームビルディング」。しかし、「具体的にどう進めればよいのか」「どんな効果が期待できるのか」と悩む経営者は少なくありません。本記事では、チームビルディングの特徴や実施するメリット、効果的な進め方のポイントについて、実践的な視点から解説していきます。チームビルディングとは?チームビルディングとは「組織を開発するための手法」の1つで、メンバーの能力や経験を最大限に引き出し、常に高いパフォーマンスを発揮できるチームを作ることが目的です。チームビルディングと似た言葉に「チームワーク」がありますが、両者は異なる概念です。 チームビルディングは個々の能力や経験を伸ばし、チーム全体として成長していくことを目指します。一方、チームワークはメンバー同士の弱点を補いながら特定の課題を解決することに重点を置いています。いずれも企業において重要な要素ですが、チームワークは課題解決を優先するため個々の成長には焦点が当たりにくい特徴があります。そのため、まずはチームビルディングを行い、その土台の上でチームワークを向上させる取り組みを進めることをおすすめします。チームビルディングの目的は?チームビルディングの目的は、チーム全体としての成長です。 ここからは、その目的を5つに分けて具体的に解説していきます。1:組織の結束力を高める事業展開や利益の最大化には、組織の結束力が不可欠です。全員が同じ方向を向いていなければ、目標達成はスムーズに進みません。 チームビルディングによってメンバー同士の信頼感が高まり、強固な組織基盤が形成されます。2:社内コミュニケーションの活性化メンバー同士の結束を高めるためには、コミュニケーションが重要です。 チームビルディングを通じて質の高いコミュニケーションが実現し、互いに助け合える環境が生まれます。社内コミュニケーションの活性化は、チームや部署の枠を超えて企業全体の風通しを良くするため、早い段階での取り組みが効果的です。3:ビジョンの浸透チームビルディングは、新しい期のスタートや新規プロジェクトの始動時によく実施されます。 このタイミングでの実施により、メンバーの気持ちの切り替えと企業ビジョンの浸透を同時に促進できます。その結果、チームに一体感が生まれ、メンバー同士で協力しながら仕事を進められる体制が整います。4:主体性の強化チームビルディングは、メンバーの主体性強化にも効果を発揮します。 ビジョンの共有や業務に関する情報共有を通じて、各メンバーが自身の課題や役割を明確に把握できるようになり、主体的な行動が促進されます。実際、多くの企業では自分の役割や課題を認識しないまま、日々何となく働いている社員が少なくありません。 チームビルディングによってこの問題を解消し、より強固な組織基盤の構築が可能です。5:リーダーシップの育成チームビルディングの効果は、新人社員や若手社員だけでなく、中堅社員の成長にも大きく貢献します。 特に部下を持つ中堅社員に対しては、自身の役割の認識を強化し、リーダーシップの育成につながります。中堅社員一人ひとりのリーダーシップを育てることで、組織全体がより効果的に機能し、ハラスメントなどの企業トラブルの防止にも役立ちます。もっと詳しく知りたい方はこちら・ウェビナー「なぜ、あなたのチームは主体的に動けないのか?」動画アーカイブを視聴する・資料「トップダウン型マネジメントに限界を感じたら?「自律型チーム」へ変革するアプローチ」を読むチームビルディングを実施するメリットは?チームビルディングを実施するメリットには、以下の3つが挙げられます。それもチームや会社の業績に影響を与えます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。メンバーの士気が高まるチームビルディングを通じてメンバー同士の信頼関係が構築され、個々のモチベーションが向上します。 その結果、生産性の向上や業務効率化が実現します。さらに、新規事業や業務効率化に関するアイディアも創出されやすくなり、より大きな目標に向かって組織全体が前進します。全体の風通しを改善できる企業の規模が大きくなるほど、風通しが悪くやすくなります。これは組織の成長を示す一方で、このまま放置すると強固な組織構築の妨げとなります。 チームビルディングによってメンバー全員の主体性とモチベーションが高まり、活発な意見交換が行われる風通しの良い企業文化が形成されます。共通の目的に向かいやすくなる責めない文化を醸成することで、共通の目的に向かいやすくなります。「責める文化」がある組織は、失敗を隠す、信頼関係が築けない、不安や目の前の課題に振り回されやすいなどの傾向が出やすいです。一方で、「責めない/共に目的に向かう文化」を持つ組織は、目的を基に行動を落とし込み、失敗から学び協力しやすくなります。心理的安全性の構築につながる近年、多くの企業が心理的安全性の向上に注力しています。 心理的安全性とは、組織内で自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる状態を指します。 チームビルディングを通じてメンバーが各自の役割を理解し、自信を持って発言できる環境が整うことで、企業全体の心理的安全性が向上します。この心理的安全性の向上は、業務効率化だけでなく離職率の低下にもつながり、一石二鳥の効果が期待できます。安心して発言できない組織は、適切な選択がしづらくなる可能性もあります。下図のように、選択肢1を主張している人は選択肢1しかみえていないことがあるが、他の選択肢が見えているにも関わらず心理的安全性が低いチームメンバーは意見を出すこと自体を躊躇してしまい、適切な対話ができなくなります。もっと詳しく知りたい方はこちら・ウェビナー「なぜ、あなたのチームは主体的に動けないのか?」動画アーカイブを視聴する・資料「トップダウン型マネジメントに限界を感じたら?「自律型チーム」へ変革するアプローチ」を読むチームビルディングに欠かせない「タックマンモデル」とは?チームビルディングを行って、組織を成長させていくためには「プロセス」を意識する必要があります。 そこで注目されているのが「タックマンモデル」というフレームワークです。 タックマンモデルは、チームの状態を複数の段階に分けたフレームワークであり、心理学者の「ブルース.W.タックマン」が提唱しました。 以下、タックマンモデルにおける5つのプロセスについて、詳しく解説していきます。形成期形成期とは、チームが立ち上がったばかりの初期段階を指します。 メンバーはお互いのことを知らず、目標も明確になっていません。 このタイミングでは、リーダーが方向性や目標を明確にし、メンバーに浸透させることが大切です。 形成期の段階でしっかりと基盤を整えておかないと、その後のプロセスを円滑に進められなくなりますので注意が必要です。混乱期混乱期は、チームとしての目標が定まり、少しずつ動き出しているが、メンバー同士がぶつかり合ったり、すれ違ったりしている段階です。 一見ネガティブなイメージを持ってしまいがちですが、これはメンバー同士がお互いのことを理解し始めている証です。 それぞれがしっかりとコミュニケーションを取り、お互いに理解し合うための努力をすることで、チーム全体の発展につながります。統一期チームは、混乱期を経て統一期へと入っていきます。 これは、メンバーがお互いを理解し、共通の目標を認識している状態です。 それぞれの役割もはっきりしているため、生産性の向上や業務効率化にもつながります。 様々な意見が飛び交いますが、混乱期とは違ってお互いを尊重したコミュニケーションが行われ、より有意義な議論や意見交換ができるようになります。機能期機能期では、メンバーが個々の役割を理解するだけでなく、仲間のフォローアップを意識する段階に入ります。 お互いの弱点や欠点を補えるようになり、チーム全体のレベルが向上します。 また、新たなことや難易度の高いことに挑戦しようとする雰囲気が浸透し、組織規模での成長が実現します。散会期散会期は、プロジェクトや目標の達成によってチームが解散する段階です。 メンバーがお互いに別れを惜しんだり、賞賛したりする行動が見られる場合、それはチームビルディングの成功を示しています。企業において、チームの解散は廃業(倒産)もしくは、プロジェクトの終了時に発生します。 プロジェクトの終了に伴うチーム解散の場合、リーダーはチームとしての区切りをつけ、メンバーに次の段階への移行を促す役割を担います。フェーズによって必要なコミュニケーションの質と量チームビルディングというと雑談でもいいからとにかくコミュニケーションを取ろうとなりやすいですが、フェーズによって必要なコミュニケーションが異なります。チームが多くのコミュニケーション量を必要とするのは、まず初期フェーズ→活性化フェーズです。この期間に以下を醸成する必要があり、これらにつながるのが「質の高い」コミュニケーションです。1:共有メンタルモデル行動・意思決定の暗黙のルールや価値観2:対人交流記憶システムチームの誰が何を知っているか、お互いの強み・弱みの認知3:心理的安全性この人は批判・攻撃してこないしともにゴールを目指せるという信頼この期間に1〜3をしっかりと醸成することによって、安定フェーズではコミュニケーションが量少なくても阿吽で動けるようになります。そして、変革フェーズでは、環境や役割の変化に伴い、1:新しいメンタルモデルと、2:対人交流記憶システムが必要になります。チームビルディングにおすすめの取り組み以下に、チームが多くのコミュニケーション量を必要とする初期フェーズ→活性化フェーズにおいて実践しやすい取り組みをご紹介します。1on11on1とは、リーダーがメンバーと1対1でコミュニケーションを行う手法です。 メンバー数が多くなると各メンバーとの距離が開きがちですが、1on1を通じて信頼関係を築くことで、チーム全体を正しい方向へ導くことができます。 また、この過程でメンバー同士のコミュニケーションや相互理解も深まっていきます。ゲームメンバー同士の絆を深めるには、まず互いに心を開くことが必要です。 ゲームは、その効果的なきっかけとなります。 特に複数のチームに分かれて行うゲームは、楽しみながらコミュニケーションを図れる優れた手法です。 定期的にチームを入れ替えて異なるゲームを実施することで、メンバー全員の絆がさらに深まります。イベントチームビルディングでは、仕事以外での親睦も重要な要素です。 おすすめのイベントとして、 ・バーベキュー ・クリスマス会 ・サバイバルゲーム ・社員旅行 などが挙げられます。こうしたイベントを通じて互いに心を開きやすくなり、仕事面でもスムーズなコミュニケーションが実現します。ワークショップメンバーの主体性やリーダーシップを強化したい場合は、ワークショップの開催が効果的です。 ワークショップでの議論や協力を通じて、メンバー間の結束や絆が深まります。また、チームでの活動の基礎を学ぶ良い機会となるため、「個々の主張が強すぎる」という課題を抱える組織にも有効です。チームビルディング実施時のポイント目標を明確にするチームビルディングでは、個人とチームの目標を明確にすることが重要です。「どんな目標を達成したいのか」「目標達成に向けて何をしていくのか」を明確にすることで、効率的にチームの結束力を高められます。ここで重要なのは、目標をチーム全員で話し合うことです。 全員参加の議論を通じてチームの一体感が生まれ、チームビルディングがより効果的に進みます。役割を明確にするメンバーの役割の明確化も、チームビルディングの重要な要素です。 役割を理解していないメンバーが1人でもいると、チームビルディングの進行に支障をきたします。 このため、取り組みを始める前に、誰が何を担当するのかを明確に定めておく必要があります。解決策を模索するチームビルディングの過程では、様々なトラブルが発生します。 このような場合、リーダーが単独で対処法を考えるのではなく、メンバー全員で解決策を模索することが大切です。 全員参加の問題解決により、より良いアイディアが生まれやすく、またメンバー全員が自身の存在意義を実感できます。コミュニケーションを大事にするチームビルディングの根幹となるのが、コミュニケーションです。 コミュニケーションなしでは、相互理解も協力も実現できません。 ただし、メンバーへの単なる指示だけではうまくいかないことも多いため、リーダーが中心となって全員のコミュニケーションを促進することが重要です。第三者に依頼する必要に応じて、外部の専門家やファシリテーターに依頼することも有効です。第三者だからこそ提供できる客観的な視点や、蓄積されたノウハウにより、内部では気付きにくい課題の発見や新たなアプローチが可能になります。また、具体的な取り組みを行う際も、メンバーが司会・進行などの役割を担う必要が無くなり、よりフラットに意見を述べやすく、チームビルディングの効果を一層高めることが期待できます。もっと詳しく知りたい方はこちら・ウェビナー「なぜ、あなたのチームは主体的に動けないのか?」動画アーカイブを視聴する・資料「トップダウン型マネジメントに限界を感じたら?「自律型チーム」へ変革するアプローチ」を読むエグゼクティブコーチングがチームビルディングの効果を引き出す?チームビルディングの効果を最大限引き出すには、リーダーの素質が鍵となります。 リーダーのコミュニケーション能力やリーダーシップが不足していると、チームの一体感は生まれにくくなります。 このような課題に対して、エグゼクティブコーチングが有効な解決策となります。エグゼクティブコーチングは、経営者や取締役、リーダー向けのコーチングプログラムです。セッションを通じてリーダーシップやコミュニケーション能力の向上を図ります。リーダーは責任の重さゆえに相談相手が限られがちです。その意味でも、信頼できるパートナーとしてエグゼクティブコーチングの活用を検討する価値があります。時代に併せて変化するエグゼクティブコーチングエグゼクティブコーチングは、経営層の成長支援ツールとして進化を続けています。従来型のコーチングは対話を通じた気づきの促進が中心でしたが、より実践的なアプローチが求められるなか、コーチングとトレーニングを組み合わせた新しい形式のプログラムが登場しています。CoachEdマンツーマン研修の特長コーチェットでは、コーチングとトレーニングを組み合わせた新しい形式のプログラムとして、「CoachEdマンツーマン研修」を設計しました。CoachEdマンツーマン研修は、マンツーマンのコーチングと体系的なマネジメントの学びを同時に行い、実践しながら理論を定着させることができるプログラムです。経験豊富なコーチが伴走することで、個々のリーダーに寄り添いながら成長を強力にサポートします。CoachEdマンツーマン研修が経営者にもたらす利点このプログラムは、上記のような効果に加えて、実践的な問題解決能力の強化を目指しています。セッション形式もオンラインでマンツーマンとなっておりますので、サポート体制も充実しています。それにより、個人の強みを活かしたリーダーシップスタイルを確立し、マネジメントスキルを効果的に向上させることができ、その結果、日々の業務における意思決定の質が向上し、組織全体のパフォーマンス向上につながります。もっと詳しく知りたい方はこちら・CoachEdマンツーマン研修 サービスサイト を見る・「CoachEdマンツーマン研修プログラム説明資料」をダウンロードする・CoachEdマンツーマン研修 お試しセッションを予約するまとめ効果的なチームビルディングは、組織の現状把握、目標設定、そして段階的な実施が重要です。1on1やワークショップなどの手法を組み合わせることで、より確実にチームの成長を実現できます。また、これらの取り組みを成功させるには、リーダーの適切なマネジメントが不可欠です。メンバー間のコミュニケーションを促進し、心理的安全性を確保しながら、組織全体の成長を導いていく必要があります。このような組織づくりをサポートするのが、エグゼクティブコーチングです。経験豊富なコーチとの対話を通じて、より効果的なチームビルディングの実現ができます。コーチェットでは、貴社やチームのご状況を反映したカスタマイズプログラムの作成可能です。組織の持続的な成長に向けて、貴社に最適なアプローチを、無料相談でご一緒に考えてみませんか?もっと詳しく知りたい方はこちら・無料相談を予約する・「2分でわかるCoachEd」 資料をダウンロードする