この記事は、ジョブ・クラフティングについて理解を深めたい人事担当者、キャリア面談を担当するマネージャー職の方に向けて、ジョブ・クラフティングの意味、効果、実践方法について解説し、組織への導入ポイントを紹介します。ジョブ・クラフティングとはジョブ・クラフティングとは、日々の仕事の意味を再定義したり、取り組み方を見直したりすることで、主体的なやりがいを見出す考え方です。従業員が自分の強みや興味をもとに仕事の捉え方を再構築することで、やりがいや効率を高める手法として注目されています。また、企業が期待する役割や成果と自身のキャリアを紐付けて考える力が身につくことも特徴の一つです。ジョブ・クラフティングを行う目的企業がジョブ・クラフティングを取り入れる目的としては、以下のような期待があります。仕事の満足度向上ジョブ・クラフティングを行うことで、従業員は自分の仕事に対してより主体的に取り組むことができ、やりがいや達成感を感じやすくなります。自分の強みや価値観に基づいた仕事の調整ができるため、日々の業務に対する満足度が向上し、仕事そのものをより楽しめるようになります。エンゲージメント向上ジョブ・クラフティングにより、従業員は自分の役割や業務内容に対して積極的に関与することができます。自身の工夫や改善が反映されることで、仕事に対する責任感やモチベーションが高まり、結果として職場全体のエンゲージメントが向上します。パフォーマンスの向上従業員がジョブ・クラフティングを行うと、自分の強みを活かし、効率的に業務を進めることができます。これにより、生産性が向上し、より高い品質の成果物を提供できるようになります。個人の成長と組織の発展ジョブ・クラフティングは、従業員個人のスキルや知識の向上を促進し、自己成長を助けます。従業員が自らの成長を感じることで、長期的なキャリア形成への意欲も高まり、離職率の低下にも繋がります。組織は、個々の成長をサポートすることで、持続的な発展を実現できます。ジョブ・クラフティングが注目される背景近年、働き方の多様化や個人のキャリア意識の高まりにより、従来の固定的な職務設計では対応しきれなくなってきました。ジョブ・クラフティングは、この課題に対する効果的なアプローチとして注目されています。 また、時代背景から見ても変化の激しい時代VUCA時代を生き抜くには、主体性のある人材が欠かせません。状況が変化しても事業を継続できるよう、指示を待つだけではなく、前例に捉われず自ら考え判断し行動できる人材が必要になってきています。ジョブ・デザインとの相違点いずれも仕事の内容や方法を設計・再設計するプロセスという点では共通しています。 主な相違点は以下の詳細になります。ジョブ・クラフティングジョブ・クラフティングとは、従業員自身が能動的に行動し、自らの仕事の経験を創り上げる手法です。 従業員自身が変更の主体であり、個別的かつ能動的な存在として捉えます。主観的な側面にも注目しながら、自身の職務満足度や動機づけを向上させることが可能です。ジョブデザインジョブ・デザインとは、マネージャーが従業員の内発的動機づけや職務満足度を高めるために職務内容を変更する手法です。 主にマネージャー(組織)が変更の主体となり、従業員を画一的かつ受動的な存在として捉えます。注意点として、客観的な側面に注目することが重要です。もっと詳しく知りたい方はこちら・仕事の「やらせ・やらされ感」出ていない? 部下の主体的キャリア形成を実現する「ジョブクラフティング」とは アーカイブ動画を見る・無料相談はこちらジョブ・クラフティングを行うメリットジョブ・クラフティングは、従業員の満足度の向上からパフォーマンスの改善まで多くのメリットがあります。代表的なメリットを紹介します。エンゲージメントとエンパワーメントの醸成従業員が支援されながら自分の仕事の意義や意味を捉え直すことができると、自分の仕事に対してのモチベーションが高まり、責任感も持ちやすくなります。仕事に意味と目的を見出すことができることで、エンゲージメントとエンパワーメントが高まることが期待されます。スキルを開発する機会の発見ジョブ・クラフティングを行うことが、スキルを開発する機会の発見につながることがあります。特に勤続年数の長い従業員は成長が停滞することがありますが、ジョブ・クラフティングを行うことで、本当にやりたかったことがみつかると、同時にそこに向かうためのスキル不足を感じることがあります。挑戦する機会の発見ジョブ・クラフティングを行うことは、挑戦する機会の発見につながることもあります。取り組んでいる仕事を再定義することで、危機感を覚えたり、可能性を見出したりするとコンフォートゾーンから抜け出し、新しい役割、新しい責任範囲を探索する機会になります。ウェルビーイングの向上心理学の研究によると、ジョブ・クラフティングは従業員のウェルビーイングに関する指標と正の相関があるといわれています。自分の役割を再評価し、キャリアを積極的に形作ってより意味のある経験を築こうとするとき、彼らは仕事に対してより興味を持ち、長く続けたいと思うようにもなります。もっと詳しく知りたい方はこちら・仕事の「やらせ・やらされ感」出ていない? 部下の主体的キャリア形成を実現する「ジョブクラフティング」とは アーカイブ動画を見る・無料相談はこちらジョブ・クラフティングのやり方・手順ここまで、ジョブ・クラフティングの意味や効果についてご説明してきました。ここからは、具体的なやり方・手順についてご説明します。1.メンバー自身が仕事に関するwill / can / mustを整理するメンバーは自分の強み、価値観、興味(will)、スキル(can)、組織からの要求(must)を明確にすることが重要です。willは個人の大切にするものや情熱を示し、canは持っているスキルや経験を示します。mustは組織が求める役割や成果を明確にします。 これらの要素を整理することで、自分の役割や貢献の方向性を具体的に描けるようになります。2.リーダーはメンバーの強みに関する今後の可能性を整理するリーダーはメンバーの強みや潜在能力を把握し、成長の可能性を整理する役割を担います。メンバーのスキルや経験を詳細に分析し、必要な支援や研修を検討することが含まれます。 上記により、メンバーの成長と組織のパフォーマンス向上が促進されます。また、キャリアビジョンに沿ったフィードバックやアドバイスを提供することも重要です。3.1on1を通して仕事の意義を再定義する上司と部下が1on1ミーティングを通じて仕事の意義や目的を対話することが重要です。ミーティングでは、期待や目標、課題について共有し、共通理解を深めます。部下が問題点や不安、改善点を自由に話す機会を提供し、上司がフィードバックを基にサポートを行います。 上記により、仕事の意義や目的が再定義され、メンバーの理解とモチベーションが高まります。4.仕事のやり方にどんな創意工夫ができるかを考えるタスク、人間関係、認知面の改善点を洗い出し、実行計画を立てることが重要です。業務プロセスを見直し、効率化や改善のためのアイデアを出します。タスクの再構築や業務分担、人間関係の円滑化、認知面でのストレス軽減を検討し、仕事の質を向上させます。 上記により、メンバーのエンゲージメントが高まり、組織全体のイノベーションを促進できます。5.ジョブ・クラフティングに取り組む環境を整備する組織としてジョブ・クラフティングを推進するための制度や風土を整備します。ピアからのキャリアマネジメントサポートや定期的なリーダーとの面談を行い、進捗確認や見直しを行います。これにより、メンバーは安心して仕事の改善に取り組めます。環境整備により自己成長を実感し、組織への貢献度も高まります。リーダーとメンバーの信頼関係が強化され、組織全体の一体感が生まれます。これらのやり方・手順に加え、土台としてリーダーとメンバーとの信頼関係の構築や、1on1のスキル(傾聴・承認・質問など)の習得をすることで、よりスムーズにきやすくなります。もっと詳しく知りたい方はこちら・仕事の「やらせ・やらされ感」出ていない? 部下の主体的キャリア形成を実現する「ジョブクラフティング」とは アーカイブ動画を見る・無料相談はこちらジョブ・クラフティングの研修プログラム例効果的なジョブ・クラフティング研修には以下の要素を含めることが重要です。ジョブ・クラフティングの概念理解ジョブ・クラフティングは、自分に与えられた仕事を主体的に捉え直し、やりがいを見出す取り組みを指します。従業員が自分の仕事のやり方や職場の人間関係に変化を加え、仕事の経験を創り上げることで、満足度や生産性の向上を図ります。参加者が上記の概念を共通認識として持つことが重要です。自己分析ワーク自己分析ワークでは、従業員が自身の強みや価値観、過去の経験を振り返り、自分らしさを洗い出します。このプロセスは、ジョブ・クラフティングの基盤となるもので、従業員が自分の仕事にどのように個性や創意工夫を加えられるかを考える上で重要です。自己分析は、他者からのフィードバックを取り入れることで客観性を高めることも効果的です。職務分析と改善点の洗い出し職務分析では、現在の業務内容を詳細に洗い出し、改善点や工夫できる点を見つけ出します。これは、ジョブ・クラフティングの対象となる業務を特定し、従業員が主体的に取り組むべき部分を明確にするための重要なステップです。 改善点の洗い出しは、業務の効率化や関係者とのコミュニケーションの見直しなど、多岐にわたるアプローチを含みます。アクションプラン作成アクションプランの作成は、ジョブ・クラフティングの具体的な実践方法を計画する段階です。従業員は、自身の分析結果を基に、どのように業務を改善するかを具体的に設定します。計画には、実施するアクション、目標、期限を明確にし、進捗を測定する方法も含めます。このプランは、定期的に見直し、必要に応じて修正することが求められます。フォローアップセッションフォローアップセッションは、ジョブ・クラフティングの実践後にその効果を確認し、振り返るための機会です。従業員は、アクションプランの成果を評価し、どのように業務や自己成長が進んだかを振り返ります。また、上司や同僚からのフィードバックを受け取り、次の改善点を見つけることが重要です。この継続的なプロセスが、持続的な成長と職場のエンゲージメント向上に繋がります。CoachEdでジョブ・クラフティングを実践するジョブ・クラフティングを通し、自律的なチームづくりを行うためのトレーニングやツールをご用意しています。 例えば以下の通りです。リーダーとメンバーとの信頼関係の構築のサポート1on1のスキル(傾聴・承認・質問など)を習得するトレーニングチームメンバー同士が自分のwillを考えるツール などその他、ご希望の内容を研修プログラムに盛り込むことも可能です。ご予算に合わせてカスタマイズできますので、お気軽にご相談ください。まとめジョブ・クラフティングは、従業員の主体性を引き出し、仕事の満足度とパフォーマンスを向上させる効果的なアプローチです。組織全体で取り組むことで、個人と組織の持続的な成長につながります。適切な研修と支援ツールの活用により、ジョブ・クラフティングを成功させ、組織の競争力を高めることができます。株式会社CoachEdと一緒に、貴社のメンバーにあったジョブ・クラフティングについて考えてみませんか?もっと詳しく知りたい方はこちら・仕事の「やらせ・やらされ感」出ていない? 部下の主体的キャリア形成を実現する「ジョブクラフティング」とは アーカイブ動画を見る・無料相談はこちら